診療アウトライン
当科では、肺がん以外の呼吸器疾患を全て診察していますが、中でも「咳味」「間質性肺炎」「アレルギー疾患」を診療の3本柱としています。各々の疾患に対する専門医が在籍していますので、安心してご紹介ください。一方で「胸部レントゲン異常の指摘」や「呼吸器症状の継続」などの診断未確定症例も、お気軽にご相談ください。
呼吸器疾患で最も頻度の高い症候は「咳嗽」で、新型コロナウイルス感染後の「長引く咳嗽症例」が増加しています。当科の最大の特色は、「咳嗽専門外来(担当:宮下)」で、咳の発生機序を特定し治療を行っています。咳嗽の原因は非常に多岐にわたり、コロナ後の咳も5つの機序に分類され、各々で治療方針が異なることを報告しています。咳嗽への早期の適切な治療介入は、患者さんの身体的負担や医療費負担の軽減に直結する事が世界的に報告されています。
さらに、検査のみの紹介もお気軽にご相談ください。大阪では、特に非結核性抗酸菌症や慢性気管支炎、肺気腫などの治療介入が行われていない症例が多数存在します。検査後に治療方針を決定し、紹介元で治療介入をいただければ幸いです。
Topics
アレルギー疾患診療
当院ではアレルギーセンターを開設しており、小林がアレルギーセンター長を拝命しています。呼吸器系では主に気管支喘息や好酸球性肺炎などを診察していますが、食物アレルギーなどアレルギー疾患全般の診療にも従事しています。モストグラフや呼気一酸化窒素、気道過敏性試験などで患者さんの病態を評価し、適切な治療方針を決定しています。また、難治例には生物学的製剤を積極的に導入し、良好な成績が得られています。日常診療で「好酸球増多」「呼気一酸化窒素上昇」「lgE上昇」などが観察された場合、「喘息で咳などの症状が持続する」場合には、お気軽にご相談ください。
大阪で多い未治療疾患
健康診断など、胸部画像のみで診断が困難な疾患が多数存在します。わが国では、慢性気管支炎や肺気腫などの喫煙
関連の疾患の多くが診断されておらず日本呼吸器学会では、早期発見、早期治療に取りくんでいます。咳、痰、息切れなどの症状がありましたら、お気軽に検査のみの紹介をお願いします。治療方針を決定し、紹介元にお帰りいただきます。
また、大阪では未治療の肺非結核性抗酸菌症例が多数存在しています。これに伴う気管支拡張症が世界的なトピックスとなっています。非結核性抗酸菌症は、中・高年の女性に多く、胸部の異常が疑われるようでしたらお気軽にご相談下さい。今は昔と異なり治療法が進歩しています。
咳嗽診療
咳嗽診療の重要なポイントは、咳嗽の発生機序を同定することです。さらに咳嗽の原因が特定されても環境因子や年齢、性、基礎疾患などにより治療方針が異なります。当科では、気道過敏性試験や咳感受性試験など、日本では特定の大学病院でしか実施していない検査法を駆使し、咳嗽の確定診断を行っています。咳の原因診断とともに、外的因子や患者背景因子を考慮し、個々の患者さんに最適の治療方針を決定します。咳嗽が長引くと、胸痛や不安などの身体的負担に加え、頻回の医療機関受診に伴う医療経済的側面など、多くの問題点が指摘されていますので、お気軽にご相談ください。
呼吸器感染症診療
2019年の新型コロナウイルス感染症の出現に伴う感染対策の徹底、その後の感染対策の緩和に伴い、呼吸器感染症病原体の流行が大きく崩れました。溶結性連鎖球菌やRSウイルス、インフルエンザの想定外の季節での流行、さらには薬剤耐性のマイコプラズマや百日咳菌の海外からの流入など、様々な抗菌薬不応症例に直面しています。科は25年以上、「呼吸器感染症に関するガイドライン」の作成委員を務めており、日本でトップクラスの「感染症診療」を行っています。また、日本化学療法学会評議員で抗菌化学療法指導医も取得していますので、お気軽にご相談ください。
間質性肺炎診療
「間質性肺炎」は、呼吸器疾患の中で最も診断と治療に難渋する疾患です。間質性肺炎は良性疾患から肺がんよりも予後の悪い難病疾患まで、原因が広範囲に分布し、早期の診断と治療が予後に大きく左右します。原因が多岐にわたり、複雑な病態が交絡しているため専門的な管理が必要とされています。当科では、日本で数少ない間質性肺炎の専門医(尾形)
が在籍しており、確定診断率の高さはもとより、致死率の高
い急性増悪症例(急速悪化症例)の救命率がきわめて良好です。胸部レントゲン写真で「すりガラス陰影」を観察した場合、「びまん性肺疾患外来」まで、お気軽にご相談ください。